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ハイブリッド電気自動車の種類と構造

ハイブリッド電気自動車は、例えばエンジンと電動機の2つの原動機で駆動するシステムである。そのシステムの構造によりシリーズハイブリッド電気自動車(2つの原動機を直列に構成し前段の出力が後段の入力になるタイプ)とパラレルハイブリッド電気自動車(2つの原動機が並列で協働するタイプ)に大別できる。

(1) シリーズハイブリッド電気自動車
(2) パラレルハイブリッド電気自動車
(3) シリーズ・パラレルハイブリッド電気自動車
(4) パワースプリット電気自動車

このうち、(3)のシリーズ・パラレルハイブリッド電気自動車と(4)のパワースプリット電気自動車はパラレルハイブリッド電気自動車を基本とするが、その特色を明確にするため別に分類した。
また、最近では、排出ガスの低減と低燃費の目的から減速・制動時のエネルギーを回生する技術が特に重要になり、そのためのシステム開発が活発に行われている。

a.シリーズハイブリッド電気自動車
シリーズハイブリッド電気自動車の概念は、電気自動車にエンジン発電機を搭載し、それにより発電された電気によって電動機を駆動して自動車を走行させる方式である。エンジンは発電のみに使われ、駆動軸には直接、駆動力を伝達しない。シリーズハイブリッド電気自動車には、(1)レンジエクステンダ(range extender)と(2)自立型の2種類がある。

b.パラレルハイブリッド電気自動車
パラレルハイブリッド電気自動車は、駆動軸に対して2つ以上のエネルギー(駆動)源がある。エンジンと電動機などの動力源は、いずれか単独か、あるいは両者の複合で駆動軸を駆動することができる。例えば、欧州などの都市規模の小さい地域においては、走行距離が短く、かつ大出力が要求されない都市内ではゼロエミッションの電気自動車として走行し、都市間の高速走行が要求される場合は原動機主体の走行とする方式である。いわば原動機の「すみわけ」コンセプトとして研究開発が行われたものである。

c.シリーズ・パラレルハイブリッド電気自動車
シリーズ・パラレルハイブリッド電気自動車は、シリーズハイブリッド電気自動車とパラレルハイブリッド電気自動車の両機能を備えたものである。図、3.31に示すこの車両のシリーズパラレルの切替え制御を例に、シリーズ・パラレルハイブリッド電気自動車の機能について説明する。駆動系はエンジン、第一クラッチ、第二クラッチ、変速機、変速機後部の電動機、バッテリ、インバータ、後輪を駆動するリアモータから構成される。
Aのシリーズモードは、第一クラッチをON、第二クラッチをOFFとしてエンジンは発電機駆動の専用となる。発電された電力はバッテリへの充電、あるいはインバータを介してリアモータの駆動に使われる。
Bのシリーズ・パラレルモードは、第一クラッチと第二クラッチの両者をONとする。第二クラッチがONであるためエンジンのトルクは変速機を介して前輪駆動に使われる。また、リアモータは上記Aのシリーズモードと同一のエネルギーフロで駆動される。
Cの高速エンジン駆動モードは、第一クラッチと第二クラッチの両者をONとするが変速機後部の電動機の運転は停止する。自動車の駆動は機械式の前輪駆動のみとなる。エンジンは高負荷で高い熱高効率を持つ特性がある。このエンジンに電動機、バッテリ、インバータなどの各種ハイブリッド駆動系の要素を組み合わせるとそれぞれの効率の積となる。そのため、ハイブリッドシステムよりも機械式のエンジン駆動とするほうが高効率となり、主に高速・高負荷で使われる。

d.パワースプリッドハイブリッド電気自動車
パワースプリッドハイブリッド電気自動車は、シリーズ・パラレルハイブリッド電気自動車の機能に似ているが、遊星歯車を利用してエンジンの出力を分岐するところに特色がある。日本では、トヨタPrius(1997、ガソリンエンジン)が市販されている。





図3.31 NEDO-ACE三菱自動車工業ハイブリッド電気自動車
シリーズ・パラレルの切り替え制御

出展
書名 電気自動車ハンドブック
著者 電気自動車ハンドブック編集委員会 編
出版 丸善株式会社 (URL http://www.maruzen.co.jp)