| ホーム | 環境技術情報 | イベント情報 | "It's EV.com"ってなに? | リンク | メンバー紹介 | 掲示板 | お問い合わせ |
 
充電システムと充電インフラのまとめ


充電システムと充電インフラのまとめ

6.充電システムと充電インフラの歴史を振り返って感じること
  カリフォルニア州のZEV規制が、電気自動車の開発を、自動車会社、行政、電力会社を巻き込んで、猛烈な勢いで開発を推進させた間違いがない事実です。電気自動車の市場導入のための、あらゆる手段が、時間を限られて真剣になって議論されました。多くの可能性が検討され、一部が実施に移されました。電気自動車を市場に出すために必要な充電インフラの検討、開発、評価、大量の充電スタンドの設置は、規制というターゲットに向かって一気に進んで行きました。
  しかしながら、一方で、ZEV規制の強制導入が電気自動車を市場から消してしまったと、私は確信しています。ZEV規制の交渉がカリフォルニアと続いているときに、学会のスピーチで、米国の電気自動車の責任者が言った言葉が思い出されます。正確に記憶していませんがが以下のような内容でしたあった。「ここに今生まれたばかりの不死鳥のひな鳥がいる。この不死鳥は将来大きく羽ばたくことを約束されており、大事に育てていきたいのだ。しかしながら規制はこのひな鳥を無理に巣立てようとしている。巣立てない不死鳥が巣から落とされてしまえば、死んでしまい復活することはない。」と
  ZEV規制のための車の開発の後も、電気自動車の車両開発、モータ、バッテリ等の開発は地道に続けられてきたが、充電システムの開発は、98年、2003年規制をベースに完全にフリーズしてしまいました。そこでの議論、決められたことは、忘れ去られてしまっています。日本における電気自動車の社会基盤が、この議論の前の段階まで、時間を巻き戻されていることに、私は大きな損失を感じています。
  電気自動車のすばらしさは、それを体験することによって初めて味わうことができるものです。リニアリティーのある加速感、本来は当たり前のエンジン音のない走り、エネルギー効率の高さ(燃費の良さ)です。もちろんそれに加えて、ZEVであること、地球温暖化ガスの排出量が圧倒的に少ないことなど電気自動車の社会的メリットも存在します。
  過去何回か、電気自動車は消えていきましたが、今、新たな社会的な要請の中で電気自動車は不死鳥のようによみがえろうとしています。今度は、この不死鳥を大事に育て、大きく羽ばたかせていくべきです。そして、巣立てるための充電を含めた社会のシステムの構築を真摯に考え実践していくことが、我々の時代に課せられた責務であると思います。
(電気自動車の充電システム、インフラの今後の進め方については、今後掲載予定のコラムを参照ください。)


コラム著者: 平野 宏和
Nissan Research & Development(USA)でEV企画を行い、
日産自動車でハイパーミニの商品企画を担当した。