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超低燃費車の開発 【2】

ハイブリッド車

  モータ・バッテリとエンジンを組み合わせたハイブリッド車が注目され、電気自動車の欠点である短い航続距離を大幅に改善しており、乗用車からトラック、バスにわたる幅広い車種に対して この方が従来の電気自動車よりも有望とする見方が有力になりつつある。

  ハイブリッド車には、エンジンとモータを組み合わせた方式として下記のような三種類のタイプがある。

  • シリーズ方式:エンジンを発電にのみ使う
  • パラレル方式:エンジンとモータで駆動力を分担する
  • デュアル方式:両者の機能をあわせ持つ


  図6.3に示したようにエンジンを効率のよい高負荷条件でのみ使い、低負荷は高効率のモータに任せれば全体として大幅な燃費改善につながる効果が得られる。シリーズ方式はエンジンの使用条件が限定されるので 排出ガス対策がしやすいが、車両の走行性能はモータ出力で制限される。この点、パラレル方式は出力性能は向上するが、エンジンの運転範囲が拡大するので、排出ガス対策はシリーズ方式より難しくなる。デュアル方式は両者の特徴を活かせるが、 システムが複雑化する。これらの方式では、電池に対して電気自動車のような大きなエネルギ貯蔵能力は不要であり、充放電に関わる高パワー特性が必要とされる。

  1997年、わが国で図6.7に示すようなデュアル方式を装備した世界初のハイブリッド量産車がトヨタ自動車から”プリウス”の名で売り出され、29km/Lの低燃費を実現し、2000年11月末現在で約5万台を売り上げている。 これに続いて、本田技研工業からは、アルミボディーで軽量化したパラレル方式の“インサイト”が1999年秋に発売され、32〜35km/Lの低燃費を実現している。また日産自動車からは、デュアル方式の”ティーノハイブリッド”が2000年春に発売されている。

  これら3車種はいずれも回生制御を行うメリットも活かし、加減速を伴う市街地走行で大きな燃費改善効果を得ているのが特徴である。しかしながら、いずれも、モータを含むパワーシステム、バッテリ、制御システムの追加分がコスト高を招いている。 また、実際の走行に対応したシステムの制御に関しても一層の低燃費化のための最適化を図る余地がある。本格普及のためには、コスト低減に努め、燃費改善効果が購入費の増加分を上回ることが期待されるところである。




出展
書名 電気自動車ハンドブック
著者 電気自動車ハンドブック編集委員会 編
出版 丸善株式会社 (URL http://www.maruzen.co.jp)