電気自動車(EV)用タイヤ
重荷を支え、転がり、衝撃を和らげ、安全に曲がり、止まるというタイヤの機能はEVでも内燃機関自動車でも同様であるが、あえていうなら、現在のEVでは内燃機関自動車に比べエネルギーの有効利用が切実な問題であるため、転がり抵抗の低減が優先課題であると考えられる。
転がり抵抗低減は、近年のタイヤ開発の主要技術テーマであるが、特にEV特有の領域があるわけではない。一方、製品としてはEVに一般のタイヤを装着した場合、通常はあまり意識されない転がり抵抗の差が顕在化する可能性もあることから、EV専用をうたい、EVユーザーが低転がり抵抗タイヤを選択しやすいように配慮する場合もある。
タイヤ転がり抵抗の実車燃費への寄与
実車燃費は、車種、タイヤ種および走行条件に大きく依存するが、一般走行での乗用車の場合、タイヤの寄与は5〜15%程度と言われている。
転がり抵抗の発生
転がり抵抗の発生は次のような要因に分けることができる。
- 転動時の変形でタイヤ内部に発生するヒステリシスロスによる損失エネルギー
- タイヤと路面の摩擦抵抗
2-1) タイヤの接地面内の滑り領域で発生する摩擦
2-2) 加速、減速に伴い発生する滑り摩擦
2-3) トーインやコーナリングにより発生するコーナリングパワーのドラッグ成分
- 空気抵抗
この中で最も寄与が大きいのは1.のヒステリシスロスで、タイヤの低転がり抵抗化ではこのヒステリシスロスの低減に向けた技術開発が行われている。
出展
書名 電気自動車ハンドブック
著者 電気自動車ハンドブック編集委員会 編
出版 丸善株式会社 (URL http://www.maruzen.co.jp)
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