作動原理と機能
DC/DCコンバータの内部構成の概要を図5.129に示す。DC/DCコンバータは電力変換するパワー回路と制御回路からなる。
パワー回路では、制御回路からの駆動信号に基づいて、スイッチングトランジスタ(高速性の要求からMOS-FETが多い)が入力直流電圧をオン・オフし、
交流電圧をトランスに供給する。トランスではこの交流電圧を変圧し、ダイオードで整流する。平滑回路では、
整流後の直流断続電圧を平滑し、補機バッテリに充電する。
制御回路は、入力の主電池電圧の変動などの外乱に対しても所定の電圧を出力するように制御する。ここで、
制御回路のセンシング電圧について説明する(図5.130)。DC/DCコンバータ、および補機バッテリの搭載位置や
補機の配線の取り回しは車両ごとで異なる。そのため、DC/DCコンバータから補機バッテリへの充電線での電圧
降下は一定でない(一般的に電圧降下は0.1V〜0.5V程度)。しかし、DC/DCコンバータには補機バッテリへの適正
な充電が要求されるので、充電線の電圧降下が無視できない場合、補機バッテリ端子電圧を直接検出し、補機
バッテリ端子部が所定の電圧になるように出力電圧を制御することがある。これをバッテリセンシング制御という。
また、バッテリセンシング線断線などの万が一の異常時に備えて、センシング異常検出制御がある。この場合、
センシングポイントを補機バッテリ端子からDC/DCコンバータの出力端子に切り替えて制御する。
これをコンバータセンシング制御という(ローカル制御という場合もある)。
制御回路は以上のような制御のほか、以下の保護機能を有することが多い。
- 過電流制限
- 入力過電圧保護・出力過電圧保護
- 過熱保護
- 警報機能
出展
書名 電気自動車ハンドブック
著者 電気自動車ハンドブック編集委員会 編
出版 丸善株式会社 (URL http://www.maruzen.co.jp)
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