Liイオン電池のEV市場適応性とEV/HEV電池寿命推定法の検証【3】 |
|
3.2.4 EV電池劣化推定の検証(市場データ)
1998年に市場投入したアルトラEVの車両走行データ(30台分、総走行距離は約3年間で460,000マイル)と、電池容量劣化の実力値を取得した。その取得した車両走行データに電池劣化推定法を適用して容量劣化を推定し実測値と比較した。
図6: EV用実用走行パターンモデルによる容量劣化推定値と市場走行実力値の比較
図6に容量劣化の推定値と実測値を示す。推定値は実測値とよく一致している。図7に各号車毎に劣化推定と実測値を比較したグラフを示す。30台すべてがある幅の範囲内にある。電池劣化推定法は市場の車載電池についても精度良く劣化推定できる。
図7: EV容量劣化 推定値VS実力値
3.2.5 HEV電池劣化推定の検証(実用耐久台上試験)
図8 HEV用実用市場走行パターンモデルによる出力劣化推定値と実力値の比較
EVと同様に、HEVの実用走行パターンモデルから電池劣化推定法で算出した出力劣化推定値と、実用台上耐久試験の出力劣化の実力値を図8に示す。出力劣化推定値と出力劣化の実力値はよく一致している。電池劣化推定法は出力劣化の推定法としても適応できる。
3.2.6 HEV電池劣化推定の検証(市場データ)
2000年に市場投入したティーノHEVの車両走行データと、電池出力劣化の実力値を取得した。そのデータからEVと同様に市場で使用されている車両の電池出力劣化の検証を実施した。
図9 車両走行パターンによる出力劣化推定値と車載電池の出力実力値
図9に出力劣化の推定値と車載電池の出力劣化の実力値を示す。出力劣化推定値と出力劣化実力値はよく一致している。図10に各号車毎に出力劣化推定と出力劣化実力値を比較したグラフを示す。HEV用電池についてもある幅の範囲内にあることが確認できた。電池劣化推定法は市場のHEV車載電池についても精度良く劣化推定できる。
図10 HEV出力劣化 推定値VS実力値
4.まとめ
- 車両走行データを電池負荷条件(温度、サイクル数、保存条件等)に変換し、その条件毎の劣化率を累積することにより市場での電池劣化を推定することが可能。
- EVの容量劣化、HEVの出力劣化の両方とも電池劣化推定法で推定できる。
- 電池劣化推定法により、EV/HEVの実用走行パターンモデルを想定することで、市場の車載電池の劣化をあらかじめ見積もることができる。
Reference
Fumihiko Saito, Norihiko Hirata, Shinya Ogata, Kenichi Sakai and Takeshi Miyamoto
Verifications of the Battery Adaptation in the Market and Estimation of Battery Life for EV, HEV
The 18th International Electric, Fuel cell and Hybrid vehicle Symposium October 20-24, 2001 Berlin, Germany
|
|