| ホーム | 環境技術情報 | イベント情報 | "It's EV.com"ってなに? | リンク | メンバー紹介 | 掲示板 | お問い合わせ |
 
Liイオン電池のEV市場適応性とEV/HEV電池寿命推定法の検証【1】

1.概要
日産自動車は、ZEV規制及びエネルギー資源問題への取り組みとして、1997年にプレーリーEV、1998年にアルトラEV、1999年にハイパーミニEV、2000年にティーノHEV(HEV; Hybrid Electric Vehicle)を市場に投入した。そして、これらの車両の動力源として世界に先駆けてリチウムイオン電池を採用した。
我々はこの電池を市場に投入するに当たり、リチウムイオン電池の市場適応性を見極める必要があった。リチウムイオン電池は他の電池と比べてエネルギー密度、パワー密度、充放電効率に優れており、EV、HEV用として適していることを確認した。もう一つの重要な市場適応性評価ファクターは、寿命である。そこで我々はリチウムイオン電池の寿命の市場適応性を見極めるための一環として、電池負荷条件とセル耐久試験結果から電池劣化を推定する手法を開発した。
今回我々はリチウムイオン電池が市場における電池劣化率の推定法の紹介、及びそれの検証結果について報告する。

2.序論
表1 に我々がここ数年間に市場へ投入した主なリチウムイオン電池を搭載した車両の一覧表を示す。今回はアルトラEVとティーノHEVについて報告する。
現時点で、アルトラEVを市場投入してから約3年、またティーノHEVは約2年が経過した。その間に我々は市場から、EVが460,000miles、HEVが130,000milesにもおよぶ車両走行データ(走行距離、電池温度等)、及び電池劣化の実力値を入手し解析した。そしてこれらのデータをもとに電池劣化推定法の検証をおこなった。


     
            Fig.1:Photo of Prairie EV                              Fig.2:Photo of Altra EV


  
         Fig.3:Photo of Hypermini                                   Fig.4:Photo of Tino HEV


                                      
  Fig.5:Photo of a battery module for EV                 Fig.6:Photo of a battery pack for Tino HEV



3.電池劣化推定法

3.1. 電池劣化の特徴

3.1.1 サイクル劣化、保存劣化
リチウムイオン電池の劣化には、充放電の繰り返すことによって進行するサイクル劣化と、無負荷状態で進行する保存劣化がある。
サイクル劣化、保存劣化とも、放電深度(DOD)や温度に大きく依存する。電池劣化のDOD依存性の例として、図1にEV用電池の電池容量劣化のイメージ図を示す。横軸はDOD、縦軸はDOD100%での容量劣化率を1としたときの劣化率比である。DODによって劣化率比が変化することがわかる。電池劣化の温度依存性の例として、図2に保存時EV用電池の電池容量劣化のイメージ図を示す。横軸は電池温度、縦軸は25℃での容量劣化率を1としたときの劣化率比である。電池温度によって劣化率比が変わることがわかる。


Fig.7:Correlation between DOD and relative battery deterioration rate


Fig.8:Correlation between battery temperature and relative battery deterioration rate

3.1.3 容量劣化と出力劣化
電池は劣化が進行することにより容量と出力が低下する。図3は電池の劣化特性のイメージ図を示す。図中、線Aは新品時の電池を放電した場合の放電量と出力の推移を示している。放電していくにしたがって電池出力は減少していく。電池の容量劣化が進むと放電できるエネルギー量が減少するので図中@のように放電エネルギー量が低下する。また、出力劣化が進むと図中Aのように出力が低下する。一充電走行距離が重要であるEVは、容量劣化を示す@の変化率をEV用電池の電池劣化と定義し、瞬時の入出力特性が要求されるHEV用電池では、出力劣化を示すAの変化率をHEV用電池の電池劣化と定義した。

Fig.9:Battery deterioration characteristics


Reference
Fumihiko Saito, Norihiko Hirata, Shinya Ogata, Kenichi Sakai and Takeshi Miyamoto
Verifications of the Battery Adaptation in the Market and Estimation of Battery Life for EV, HEV
The 18th International Electric, Fuel cell and Hybrid vehicle Symposium October 20-24, 2001 Berlin, Germany