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電気HEV用電源

電気HEV用電源の要求性能

HEV用電源に求められる要求性能を次に示す。

a 高出力


電気HEV用電池とPEV用電池との大きな違いは、後者が走行距離を十分長くとるためにエネルギー量に重点が置かれるのに対し、前者は加速時のエンジンアシストと減速時のブレーキエネルギー回収に重点が置かれる点である。したがってエネルギー量はすくなくてもよく、自動車の設計上、電池により小型軽量化が要求される。現在実用化されている電源は10Ah以下でありPEV用電源に比べれば小さい容量のものとなっている。必然的に電池は高出力密度の電池となる。通常HEVでは電池出力とエンジン出力との併用であるため電源の加速時出力はPEVほど必要ないが、車両搭載のための電池軽量化を考慮すると重量当たりの出力密度はPEV用電池の2〜5倍になる。

b 高回生エネルギー受入れ性

HEVでも回生に関しては、車両の運動エネルギーを電気エネルギーに変換することであり、要求される条件はPEVと同じである。可能な限り電池の回生特性を上げ、ブレーキエネルギーを回収することが望ましい。しかし、容量がPEVよりはるかに少ない電池にPEVと同じ電力を受け入れることはかなり困難である。ただし、常に高回生のブレーキばかりでないため、ある程度受入れ電力を制限しても、回生の効果はそれほど減少しない。電源としての最大出力と同じ程度の回生受け入れ性を保証すれば回生効果は十分得られると考えられる。

c セルレベルでの均一特性

PEVの電源は満充電されたあと走行によって、ほぼ空になるまで使われるのが通常の使い方である。充電の際、十分な過充電量を確保すれば電池パックを構成する全セルの容量は毎回均等化される。一方、HEVの電池は意図的に満充電にするような特別な場合を除き、一定の充電状態を中心に充放電される使い方になり長時間満充電にされることがない。したがって、使用過程でセルレベルの容量にばらつきが発生しないような均質な特性が要求される。

HEV用電源の種類

前述のPEV用電源と同じ電池系やキャパシタがHEV用電源として実用または検討段階にある。電池系は室温作動型が使用されている。HEVはシリーズHEVとパラレルHEVに大別され、現状、以下の4種類のシステムが実用もしくは検討されている。

1. シリーズHEV (Series-HEV):エネルギー供給源として内燃機関を搭載するが、電源のみでも約20マイル走行する。電源電圧は200〜400Vが用いられる。

2. ストロングHEV (Strong-HEV):加速時、登板時のパワーアシスト、ブレーキ時のエネルギー回生が高率にでき、短時間の電源によるEV走行ができる。電源電圧は200〜400Vが用いられる。シリーズ・パラレルHEVとも呼ばれる。

3. マイルドHEV (Mild-HEV): パワーアシスト、ブレーキ時のエネルギー回生を行う。電源電圧は120〜200Vである。パラレルHEVである。

4. ISG-V (Integrated Starter and Generator Vehicle): 市内走行時の停車−発進(stop and go)の効率向上を行う。電源電圧は25〜60Vである。表に各種電池系の特性を示した。前述したように容積、重量が小さく、電気容器も小さいため、車両に必要とされるエネルギー、出力、回生(入力)の絶対値が要求されるが、表では一般化するため、エネルギー密度の表示をした。充電は、通常の使用時に設定された充電状態に制御されるので、外部充電器などによる意図的な充電以外は行われない方式が多い。キャパシタは大きな瞬時出力、回生(入力)が可能なため、この用途への適用が検討されている。



出展
書名 電気自動車ハンドブック
著者 電気自動車ハンドブック編集委員会 編
出版 丸善株式会社 (URL http://www.maruzen.co.jp)